PFで放射光実験を行うために必要な手続きはPFの公式ウェブサイトにまとめられていますので、よく読んで課題申請などの手続きを行ってください。
ここでは手続き上重要なポイントや、質問の多い項目などについて説明します。
放射光利用実験の流れ
- 公募情報を確認し、放射光共同利用実験課題に応募する。
- 課題が採択されたらビームタイムの希望申請を出す。
- ビームタイムが配分されたら、実験に必要な手続きを行う。
(放射線関係、化学安全関係、実験参加者の登録、保険の確認など) - ビームタイムに向けて試料の準備を行う。
- PFに来所し、実験を行う。
- 実験で得られた成果を施設に登録する。
わからないことがあったら
近年は安全に対する意識の向上や、設備の高度自動化など、施設の利用ルールや、装置の扱い方が大きく変わってきています。初めて実験される方はもちろんのこと、しばらく実験に来られていなかった方も、疑問に思うことがあればお気軽にお問い合わせください。
硬X線XAFS実験に関する問い合わせ先
「BLスタッフ」のページに記載しておりますビームライン担当者に直接連絡いただくか、このウェブサイトのお問い合わせフォームをご利用ください。
硬X線XAFS関係BLスタッフ
なお、硬X線XAFS以外のビームライン担当者リストはこちらです。
PFの実験ステーションと担当者一覧
1.共同利用実験申請書を提出する
PFで放射光実験を行うためには共同利用実験申請書を提出し、課題審査委員会(PAC)で採択される必要があります。募集要項についてはPF公式ウェブサイト(PFで放射光実験を行うには)でご確認ください。
通常はG型(一般)での応募となります。これ以外のプログラムに応募を検討されている方はビームライン担当者まで事前に問い合わせをしてください。事前の打ち合わせ無しでG型以外の申請をされると申請書が受理されない場合があります。
企業ユーザーの方は産業利用制度をご利用いただけます。
共同利用実験申請書の作成について
PFは運転経費の大部分を運営費交付金でまかなっていることから、公平かつ効率的にビームタイムを配分することが求められています。PFでは提出された課題申請に対して所外の研究者による課題審査委員会が評点をつけます。ビームタイムは評点の高い順番に優先的に配分され、評点の低い課題に対してはビームタイムが配分されないこともあります。 PFオフィシャルの記入要項を参照して作成してください。
下記はビームライン担当者として、記載して欲しいことなどをまとめています。(レフェリーの採点基準ではありません)
- 「研究によって得られる知見とその有用性」、「放射光実験が必要な理由」をはっきり記載してください。
- 実験が設備的に実施できるかどうか、安全性が考慮されているかも技術的な審査の対象になります。特殊な実験を希望される方は事前にビームライン担当者と打ち合わせをしてください。
- 専門分野の多少異なる研究者にも内容を理解できるような書き方をしてください。
- 共同利用課題への応募資格は、国内外の大学及び公的研究機関に所属する研究者および科研費に応募資格のある民間研究機関に所属する研究者です。学生はT型課題を除き申請はできません。
- XAFS課題のほとんどは「3.化学・材料」の分科で審査されます。他の分科でも審査して欲しい場合は、第3分科と他の分科の複数選択で出してください。
- 経験者がメンバーに加わっているかどうかで実験の実現可能性を判断することがありますので、実験を実施する上で中心的になる人物は実験参加者として必ず記載してください。
- PFの硬X線XAFS実験ステーションは複数ありますが、それぞれ特徴が異なりますので、ビームライン情報のページを確認の上、最適なビームラインを記入してください。
- XAFSを用いて何を何処まで明らかにしたいかを明瞭に記して下さい。
- 試料の組成は定量的に記して下さい。申請書に書く前に、透過法で測定可能か、どれ位の厚さの試料が最適か定量的に当たってみて下さい。
- 測定する吸収端を明記して下さい。また、組成によっては吸収端同志が干渉してEXAFS信号を得られるとは考えられない場合もあります。あらかじめ確認して下さい。
- 透過法で測定しようとしているのか蛍光法や転換電子収量法で測定しようとしているのか、また蛍光法の場合どの検出器を予定しているのか等の情報は可能な限り詳細に記載してください。
- ビームライン名の記述やビームライン光学素子の機能に付いては正確な理解、記述をお願いします。
- 高輝度と大強度の違いにも注意して下さい。通常の XAFS 実験では大強度が必要となることはあっても、高輝度が必要となることはそう多くないと思われます。
2.ビームタイム希望申請を行う
(実験計画書を提出する)
申請した共同利用実験が採択されましたら、ビームラインを管理する担当者もしくは運営グループにビームタイムを要求する必要があります。
ビームタイムの要求がない場合は課題が採択されていても自動的にビームタイムが配分されることはありません。これは、PFの課題有効期間が複数運転期間(G型課題ですと2年間で6期)にまたがるためで、各課題の研究進捗に合わせて柔軟にビームタイムが設定できるようにするためです。要求が無い場合は研究の進捗の都合で次回の運転期間はパスするという扱いになります。
※ビームタイムの要求方法はビームラインによって異なりますので、事前にご確認ください。
硬X線XAFSビームライン群(BL9A, 9C, 12C, 15A1, NW2A, NW10A)でのビームタイムリクエストの方法
このWebに掲載されている「実験計画書」をダウンロードし、オンラインフォームから提出してください。実験計画書提出に関する詳細は別ページにまとめていますので、実験計画書の作成と提出をご覧ください。
3.ビームタイム配分の確認と来所の準備
ビームタイム配分結果の確認
通常加速器運転開始の1ヶ月半程度前までにビームタイムの配分結果が公表されます。配分結果は各運営グループにより通知方法が異なりますので注意してください。 硬X線XAFSビームライン群のビームタイム配分結果詳細はこのウェブサイトのビームタイム配分結果のページに掲載されます。ビームタイム配分が公表された際には実験責任者用メーリングリストでも情報が流れます。
ビームタイムの配分後に都合が悪くなり来所できない(実験できない)状況となった場合は、速やかにビームライン担当者に連絡してください。早めに連絡いただければ他のユーザーが代わりに実験を行うことができ、ビームタイムを有効に利用できます。
来所前の手続き
来所までに行う必要のある手続きがいくつかあります。特に安全関係の手続きは怠ると実験そのものが実施できませんのでご注意ください。詳しくは PFの公式ウェブサイトで詳細を確認してください。
来所・実験の手続き
実験を開始するために最低限必要な手続きは下記の通りです。
- (課題責任者)誓約書
- (課題責任者)共同利用実験者登録届兼放射線従事願(9-2) (つくば地区)
- (課題責任者)実験データ等管理計画書
- (課題責任者)試料・化学薬品持込
- (すべての実験参加者)放射線作業従事承諾書(様式10)(つくば地区)
放射線管理区域への入域申請や宿舎の予約など来所までにあらかじめ済ませておく必要があります。ほとんどの申請は「共同利用者支援システム」を通じてオンラインで行います。詳細は共同利用案内のページでご確認ください。
なお、「共同利用者支援システム」 に関する問い合わせはユーザーズオフィスまで直接お願いします。
放射線作業従事者登録
放射光実験ホールは管理区域になるため、KEKの放射線作業従事者登録が必要です。実験に参加される方全員がそれぞれ申請する必要があります。来所の際には所属機関で発給された個人線量計(X線・γ線用)を持参する必要があります。
所属機関でバッジが発行されていないなどの場合は事前に放射線科学センターまでお問い合わせください。
安全講習
PFで実験を行うには、年度ごとに安全講習を受ける必要があります。
安全講習にはPF安全講習(一般安全)と放射線安全講習の2つがあります。
- オンラインでPF安全講習ビデオを視聴
- 受講確認テストを受講
- 合格証を印刷
- 来所時にPF監視員室にて合格証を提示
- PFにて放射線安全講習を受講
宿舎の予約
共同利用者は共同利用研究者宿泊施設(ドミトリー)が利用できます。利用予約は共同利用者支援システムから行います。出張日程が決まりましたら早めに予約されることをお勧めします。
旅費の申請
共同利用実験で来所する際には旅費のサポートがあります。サポートされる人数や申請の方法はPF公式ウェブサイトで確認してください。
学部学生の実験参加
学部学生は実習としてのみ実験に参加可能です。実習の際には事前の手続きが必要です。また、学生のみでの実験はできません。
無線LANの利用について
KEK所内では、共同利用実験者が利用可能な無線LANシステムが整備されています。ユーザーは「KEK-Spot」と「Edurorm」が利用できます。申請に関する詳細はPF公式ウェブサイト(無線LANの利用)をご覧ください。
KEK-Spotの申請方法
共同利用者支援システムにアクセスし、【利用申請手続】-「登録済み実験・研究用務」から「無線LAN接続申込書(つくば地区)」 を選択してください。
- 申請には使用されるPCのMACアドレスが必要です
- 無線LAN申請区分は「KEK-Spot (keyaki)」です
※ユーザーは「MA(Tsubaki-III)」には申請できません - 「機構内職員連絡先氏名」には「PF Touban」
「機構内職員連絡先内線」には「4209」を入力してください
Edurormの申請方法
Eduromアカウントは大学等所属機関で行います。各所属機関の案内をご確認ください。発行されたIDはそのままKEKのネットワークで使用できます。KEK側への事前申請などは不要です。SSID「edurorm」のアクセスポイントに接続して使用してください。
試料・化学薬品等持ち込み・使用届
測定試料や試薬、高圧ガスをPFに持ち込む際にはその種類と数量を事前に登録する必要があります。持ち込み試料がない場合も提出が必要です。 提出がされていない場合、実験は実施できませんのでご注意ください。
労働安全衛生法の改正により、一定の危険有害性のある化学物質についてリスクアセスメントを実施することが義務づけられました。PFでの共同利用実験等で持ち込む化学物質についてもユーザーの責任において事前にリスクアセスメントを実施して頂きます。
加熱昇温装置等使用届
電気炉やヒーターなど、加熱機器をPFに持ち込む際には 加熱昇温装置等使用届が必要です。オイルバスやホットプレートなどの市販品も対象となります。ただし、「XAFS実験用のフローセル」等、PFが所有している機器に関しては加熱昇温装置等使用届は提出不要です。
特殊ガス使用届
可燃性・毒性・特殊材料ガスを使用する際には届けが必要です。PF所有のガスであっても同様です。
高圧ガスの使用
各ビームラインには窒素およびヘリウムの取り出し口があります。圧力は0.3MPa程度です。こちらのガスを使用する場合には特に申請は不要ですが、一度に大量のガスを必要とする場合にはビームライン担当者に事前相談してください。
上記以外の高圧ガスを持ち込み・使用する際には事前に連絡が必要です。高圧ガス担当まで電子メールでご連絡ください。
液体ヘリウム供給申込
液体ヘリウムの利用に関しては事前の打ち合わせが必要です。実験の2週間以上前までにビームライン担当者まで直接ご連絡ください。
4.試料の準備
基本的に試料はすぐに測定できる状態で持ち込んでいただき、測定後にはそのまま持って帰っていただくことになっています。XAFS測定に最適な試料の調製方法に関しては、XAFS測定用試料の作成ページをご覧ください。
PF内には簡単な化学実験を行うことができる実験室があり、ユーザーに開放されています。PFに来られてから試料を調製される場合は、実験室の利用方法を確認いただき、事故の無いように作業を行ってください。
5.ビームラインでの実験
ビームラインは全体が共用備品です。実験の開始時と同じ状態にして終了するのが原則です。ビームラインに異常を発見した際には速やかにビームライン担当者もしくは運転当番に連絡してください。
- 実験開始前点検
- 実験情報管理システムへの入力
- ホワイトボードへの書類掲示
- XAFS実験:ログブックへの記載
- 実験終了時点検・掃除
- ビームタイム利用報告書の入力
上記が典型的なXAFS実験の際の手順です。詳しくはXAFS実験の手順 ページにまとめていますのでこちらを参照ください。
6.成果の登録
放射光利用実験で得られた成果は原則公表することが求められます。論文が刊行された場合にはKEK研究成果管理システムより登録をお願いします。プレスリリースなどの申し込みは広報室までご連絡ください。 詳しくはPF公式Webの「研究成果の登録」を参照ください。