測定を行うための標準的な手順は
- 電離箱のガス調整
- 吸収端に合わせて分光器送り
- スリットのサイス確認
- ピエゾの調整
- スリットの位置合わせ
- ビーム照射位置の確認
の順番で進めます。基本的には測定する元素(吸収端)を変更するたびに上記手順を行います。
電離箱ガスの調整
I0(入射)用電離箱でのX線吸収係数を10~20%、I1(透過)用電離箱でのX線吸収係数を90%程度となるようにガスの種類を決めてフローします。電圧は変更する必要はありません。
分光器送り
PFXAFSソフトウェアを立ち上げ、メニューから「StepScan」もしくは「QuickScan」を起動します。どちらも左上に分光器送りボタンがあります。測定する吸収端付近のエネルギーを入力することで分光器を動かすことができます。
スリットサイズ確認
実験ハッチ内のI0電池箱の前には最終スリット(I0前スリット)が設置してあります。基本的には触る必要の無いものですが、前のユーザーが変更している可能性もありますので目的のサイズになっているか確認してください。
- BL-9A、BL-9C、BL-12Cの標準サイズ:縦1mm、横1mm
- AR-NW10Aの標準サイズ:縦1mm、横2mm
この標準サイズはビームをほとんど切らない設定です。ですので、これ以上に開いてもビーム強度は強くなりません。
スリットサイズを変更した場合はロブブックに記載すること。
ピエゾの調整
XAFSビームラインの分光器は二結晶型を採用しており、その平行度を微調整するためにピエゾアクチュエーターを搭載しています。
ハッチ内にX線を導き、I0電離箱の強度を見ながらピエゾ調整つまみを回してください。つまみを回していくとあるところで極大となるはずです。その極大位置が二結晶が平行になったときで俗に言う「フルチューン」の状態です。
もし、I0強度が最大になる場所が左いっぱいもしくは右いっぱい(つまり調整範囲内に極大値が無い)の場合は、分光器に不具合が発生しているかI0前スリットが大きくずれている可能性があります。I0前スリットを取り外した状態でもう一度つまみを回し、改善した場合はI0前スリットのずれが原因です。次項の後半の無いようにしたがって修正してください。改善しない場合は、ビームラインのBBSを閉めてビームライン担当者に至急連絡してください。不用意にX線を出し続けると分光器を破損する恐れがあります。
スリットの位置合わせ
スリットは電動ステージに乗っており基本的にはソフトウェア操作で軸出しを行います。PFXAFSソフトウェアを立ち上げ、メニューから「MotorControl」を起動します。初期状態であれば、X線をハッチに導いた状態で、左下にある「Dual scan」の「Start」ボタンを押すことで、自動的に軸あわせが行われます。
スキャン範囲内にビーム中心を捉えると、グラフ画面に上に凸のグラフが出ます。この場合は調整ができていますのでこれで終了です。山の頂点を捉えていない場合は、もう一度「Dual scan」の「Start」ボタンを押してください。これにより初期値が変更された状態でスキャンが実行されますので山の頂点に近づきます。通常は1~2回、多くても3回のスキャンで位置合わせは完了します。
何かのトラブルで大きくスリット位置をずらしてしまった場合は、試料位置確認用のレーザーが使用できる場合は、レーザーに光軸にスリットの中心が来るように合わせてください。レーザーが利用できない場合は、左右方向は光学レールの中心、上下方向は光学レール上面から188mmが中心となるようにスリットを合わせてください。いずれの場合もこの状態から「Dual scan」の「Start」ボタンを押すことで最適位置に戻せます。
ビーム照射位置の確認
最後に感光シートを使ってX線の軌道を確認します。サンプルホルダーに①ビームラインにある感光紙(リナグラフ)、②持参の感光フィルム(ガフクロミックフィルム*)を切って貼り付けます。このとき観光面(変色する面)を下流側に向けてください。貼り付ける位置は下流にあるガイドレーザーもしくは電離箱の窓の中心位置を参考にしてください。X線を照射し、感光していることを確認します。照射時間はリナグラフで30~60秒、ガフクロミックで1~3秒です。
X線の位置が確認できたら、ガイドレーザーを照射し、レーザーの架台に付いている調整つまみでX線照射位置に合わせます。
以上によりXAFS測定の準備は完了です。本測定に入ってください。
*ガフクロミックフィルムはRT-QA2-111が使いやすいです。一箱で1.5×11インチのシート25枚入り26,000円程度です。可視光で感光しないためリナグラフに比べて保管や使用が簡単で、X線感度も非常によいです。
